新幹線から東京ギフトパレットができるまで
東海道新幹線700系車両に使用されている
アルミニウムを、2020年8月5日にオープンした
「東京ギフトパレット」の建材等に再生しています。
これまでのアルミニウム製新幹線車両のリサイクルは、アルミニウムに付着した塗装やボルト等の除去が困難なため、鉄を作るときの添加剤等として使用されてきました。
この度、多くの方々の知恵と技術と協力を得て、アルミニウムだけを分別する方法の開発に成功し、2020年10月には特許を取得しました。(2024年6月に、この特許権を「ジェイアール東海商事株式会社」に譲渡しました)
それでは、どのように東海道新幹線700系のアルミニウムが再生されているかを見ていきましょう。
東京ギフトパレットのどこに東海道新幹線700系のアルミニウムが使用されているのでしょうか。
古くから日本橋でお客様をお迎えしてきた「のれん」は、東海道新幹線700系のアルミニウムを50%使用し、大仏や京都の平等院鳳凰堂の鳳凰を作る鋳造技術で製造されています。のれんのエッジに丸みをもたせ、極限まで薄くすることで、のれんの動きを表現しています。
八重洲の桜の花びらを形どった「柱・天井の桜装飾」は、1円玉を作る技術を応用し、東海道新幹線700系のアルミニウムを20%使用。圧延技術で厚さを3mmにした後、レーザーカット技術で細かな桜模様を表現し、東京ギフトパレット中央の柱と天井に施されています。
東京ギフトパレットの中央通路は、朝・昼・夕方で照明の色が変化します。
いろいろな色の中での桜模様をお楽しみください。
東京ギフトパレットの「柱や壁」は、東海道新幹線700系のアルミニウムを100%(!)使用し、押出し技術で製造されています。特有の「色」は、アルマイト処理という、アルミニウムを化学反応させてできた色を利用しています。
東海道新幹線700系は、さまざまな環境に耐え得る良質なアルミニウムでできており、通常のアルミニウムと比べて硬いため、のれんや桜の花びらなど薄い建材を製造する際には、柔らかい通常のアルミニウムと混合し、各技術に適した配合を行っています。柱や壁は、厚みを持たせた建材のため、東海道新幹線700系のアルミニウムを100%使用しています。
東京ギフトパレットには、2020年3月にラストランを迎えた東海道新幹線700系の記念プレートが設置されています。
実はこの記念プレートも東海道新幹線700系のアルミニウムを使用しており、東京ギフトパレット内に6か所設置しています。どこにあるか探してみよう!
東京ギフトパレット1階、2階のスターバックスには、東海道新幹線700系のアルミニウムを100%使用した仕上げが正面部分に施されたカウンターが設置されています。
東京ギフトパレット2階吹き抜け回り通路に設置されたこのエッチングアートは、高速鉄道初の2階建て車両となった100系新幹線食堂車の壁面装飾として使用されていたものです。絵柄には、東海道本線を走行した特急「つばめ」やビジネス特急「こだま」をはじめ、初代新幹線0系車両や100系車両などが描かれています。
特許
- 発明の名称
- アルミニウム製鉄道車両のリサイクル方法
- 特許出願人
- 東京ステーション開発株式会社
- 特許出願番号
- 特願2019-186881
- 特許認証日
- 2020年10月20日
※2024年6月 「ジェイアール東海商事株式会社」に特許権を譲渡
受賞履歴
一般財団法人 日本アルミニウム協会
令和元年度日本アルミニウム
協会賞開発賞受賞
SPECIAL THANKS
- 東海旅客鉄道株式会社
- 東海交通機械株式会社
- ジェイアール東海商事株式会社
(ジェイアール東海商事ホームページ) - 株式会社CMYK
- 株式会社乃村工藝社
(乃村工藝社参考リンク) - SUS株式会社
- アカオアルミ株式会社
- 明海リサイクルセンター株式会社
- 扇屋塗料株式会社
- 株式会社金井工芸鋳造所
- 菊川工業株式会社
- 産業振興株式会社
- トピー実業株式会社
- 株式会社日本電気化学工業所